もともと有言実行タイプだったが
「倒れるまで働く!」
と言っていたのは流石に冗談だったのに、労働の神様にはジョークが伝わらなかったらしく、本当に倒れてしまいこの度休職する運びとなった。
まさかポジティブ適当人間feat.雑である私が、心身をやられて休職することになるとは思わなかった。
医者から転職を勧められつつ薬を飲み、毎日泣きながら出勤・退勤をするという、レ・ミゼラブルのコゼットばりに可哀想な日々を過ごしていたのだが、私のところにはジャンバルジャンより先に限界が来たらしい。
8月のある朝、私はパタンと倒れてしまった。そこが駅だった為、親切なサラリーマンと駅員により駅員室へ運ばれたのだが、そこでうっかり眠ってしまったため、私は駅員の問いかけに反応出来ず、駅員は
「このOL、し、死んでしもうた......」
と相当焦ったらしい。
そして救急車を呼ばれてしまった。
救急車を呼ばれた事のある人ならわかると思うが、救急車は一度呼ばれると乗車拒否出来ない雰囲気になるのだ(こんなん↓)。
突然の事態に恐縮しながらも、社会人としての自覚を持った私は極めて冷静かつスマートに搬送された(はずだ)。
途中車内で
「上司に電話したい。そして会社に行かねばならぬので降ろして欲しい。」
と救急隊員の人に懇願すると、隊員は笑顔で私のiPhoneを受け取り、上司に
「おたくの黒田さんという社員が倒れたので◯◯病院へ搬送します」
と言った。
慈悲深い、無慈悲である。
クソ余談だが、搬送先が決まるまで時間があり暇だった為、隊員と少しおしゃべりをしたのだが、隊員がICU(集中治療室)の話をしてるのに、私が足湯と勘違いをしてアンジャッシュのネタの様になり、勘違いがわかった瞬間、車内がかつて無いほど笑いに包まれ大変和んだのはいい思い出である。
しかし和みが過ぎたのか、病院についたら私はまた眠ってしまった。叩いても揺すっても起きない私を見た研修医は
「脳に異常がある可能性が高いです......」
と母に言い深刻な顔でCTを撮り、写り出された何も異常が無い私の脳を見て苦し紛れに
「うーん綺麗な脳だ」
と言ったそうだ。なんでも鑑定団かよ。そんなとこ褒めんなや。
その後来たベテラン看護婦に
「病的に眠りが深い人はこうやって起こす」
と、胸の中心を思っくそグーでグリグリされその痛みでようやく私は目覚める事が出来た。
泣くほど痛かったので、痛いのが好きな人は試してほしい。
痛みでイライラしながらゆっくり顔を上げると、娘が救急車で運ばれる事に些か慣れ始めた顔の母と、なぜか満面の笑みの次長が立っていた。
じちょう
次長(じちょう)とは
民間企業や行政機関などの組織において、部門責任者の職務の代理者もしくは次席として置かれる職務・役職である。
ガバッと起き上がり
「次長ぉ!」
と歌舞伎役者の様に叫ぶと、次長は微笑んだまま
「いいのよ寝ててね^ ^無理しないで^ ^」
と言って母と医者と休職の相談をはじめたのだ。
あの次長が、である。
30分の面談のところ、私だけ100分かけて詰めに詰めたあの次長である。
「親や先生、友達は騙せてこれたかもしれないけど私は騙されないから。あんたのメッキはもう剥がれてんのよ!」と叫んだあの次長である。
「え、やばくね?なになにちょーこえーんだけど」
と突然の事態に語彙力がギャルみたいになりながらテンパっていると、次長からあっさりと休職命令が出たのである。
私の部署とOJTはクソブラックだが、会社自体はオフホワイト仕様の為、休職の制度は整っているらしい。
医者、上司ともに休みなさいと言われ、半ばボーゼンとしながらも休職する事が決まり、現在は主治医に言われた通り一日の大半を横になって過ごしている。
あ!!!!そこのお前!!!!お前だよお前!!!!
ちょっと「羨ましい〜」とか思ったろ。「寝てられるのいいな〜」とか思ったろ!
めっっっっっっっちゃ辛いからな鬱(コレ)
めっっっっっっっちゃめんどいからな!!!
「知らねーよメンヘラ黙ってろ」って思ったそこのお前も聞きなさい。
これからみんなの周りには、おそらく、悲しいことに、私みたいなヤツがぽつぽつ現れてくると思う。
それは同期だったり、大学のサークルの先輩だったり、友達だったり、兄弟姉妹だったり。親かもしれない。
そこで、先駆者の私が鬱がどんなもんかをザクザクっと書くので興味のある人はナナメ読みでもしてもしもの時に備えて欲しい。
私は休職しているものの結構軽い方で、自力でお風呂にも入れるし、あらかじめわかっている予定に対してエイッ!と力を出せば外出も出来る。
しかし、ほとんどの時間は家の布団の上で過ごし、スマホをいじる気力も夜の一部の時間帯のみで、あとはひたすら寝返りを打っている。
寝ても眠りが浅く、悪夢を見る事が多く、叫んで起きる事もままある。
主治医には
「気分転換に人と話すと良いでしょう」
と言われているため、時々友達と会ったりするが、それもあらかじめわかっている予定オンリーで、心身の準備が出来ない突然の誘いは心がついていかないため絶対に受けれない(今から新宿これるー?的なやつだ)。
また現在の私には波があり、ノリに乗ってる時は高田馬場にいる早稲田生ばりにはしゃぎ、通常時よりも元気なのだが、波がおさまると撃沈してしまう。
そうなるともう風呂トイレ以外は動かず、ずっと泣きながらyoutubeで音姫みたいなヒーリング音楽を聴いて過ごす他なくなってしまう。
先々週、友人と会ってから新宿へFP3級の試験に行くというチャレンジをしたのだが、疲労と人の多さで後半試験の記憶がない。多分受験はしているはずだが、どう帰ったかさえもう覚えていない。そしてその後3日程無事撃沈した。
人と会っている間はいつもの黒田でいられるのだが、バイバイした瞬間からズドーンと気持ちが落ち、心がざわついて仕方がなくなってしまう。
そのため遊び呆けるなんて出来ないし、集中力と処理能力が落ちているため好きな読書も出来ず、具合がMAXに悪い時はTVの音すらしんどかったりする。
また
「時間あるし海外行きたーい♡」
と思った3分後に
「もう消えてなくなりたい...」
と思う事もある。とにかく感情の落差が激しいのだ。
いやいや、まっこと不思議な病である。
ここまで読んでコイツやべえぞとゾッとしたそこのお前。
心配しなくていい。
私は幸運な事に両親・友人・同期の理解がめちゃくちゃ深く、誰に休職の話をしても
「うんうん、ゆっくりおやすみ......」
と聖母の様な労りの言葉を貰う。本当にありがたい。
おかげでゆっくりではあるが、病状も少しずつ落ち着いて来た気がする。
こうして環境に恵まれているため、メンヘラの様に誰かに依存したり、死ぬ死ぬ詐欺はしないので安心してほしい。
ただ、本当に、これは病であって気合や根性じゃどうしようも出来ないのだ。
これは休職した者の言い訳ではなく、本当なのだ(まぁこれも主観でしかないが)。
これまで私は結構根性論派だったのだが、根性じゃどうしようも出来ない領域がある事を今回知った。
会社に行かなきゃ、と根性で泣きながらもスーツを着ていたが、根性もやがて尽きる。しつこい様だが根性だけでは限界が来るのだ。
これからきっと、あなたの身の回りで私の様な人が増えてくる。その時一つ、声をかけてやって欲しい。
「頑張って!」や「元気出してー!」
などではなく、何か優しく寄り添うような一言を、どうかかけて欲しい。
私はそうした言葉たちにどれだけ救われたかわからない。