悪魔と後輩、人間の私と

私が初期配属の部で破茶滅茶に虐められて病んだのはもう何回も話してきたと思う。


しかし、今度は今年入った新人がスケープゴートになっているらしい。


同期から相談を受けて知った。





「どこの部にも、酷い人はは居るもんだ。」


人は言う。




しかしアノ部には、人間の腐った根性を煮詰めて固めた人外が4人もいる。



4匹の悪魔が寄ってたかって新人を虐めている。


それが、私がいた部。今、顔も知らぬ後輩が苦しんでいる部なのだ。


一年前にブラックアウトをしてからアノ部、あの地獄を思わなかった日はない。




ミスを詰められる

ノルマがキツイ



そういうことではない。

もう、居るだけで虐められるのだ。ロクに仕事は教えてもらえない。ミスをしたら二度とその仕事はさせてもらえない。一つの小さな失敗を、まるで人でも殺したかの様に大ごとにして、集団で攻めて上席に報告し詰めに詰める。


結果で見返すなんて出来ない。

仕事を回してもらえないから。

他の人に助けてもらうなんて出来ない。

4匹の悪魔に逆らうのが怖いから。



中世ヨーロッパの魔女狩りの方が潔がいい。

魔女討伐の大義名分があるから。

大正の村八分の方がまだ救いがある。

火事葬式は手伝ってもらえるから。



この世で一番悲しい事は、必要とされない事だと私は思う。


会社に行って、仕事をさせてもらえず日々瑣末なことで叱り飛ばされ人格を否定される苦しみは並ではない。


あの頃、私は毎日泣いていた。

帰りの電車で、昼休みのトイレで、階段の踊り場で。


でも、その後輩は泣かないのだという。


皮肉な事に、泣かない事が事態に拍車をかけているらしい。




私が今居る部は、うまくいかないと事もあるが、会社として勤めるのに特段問題はなく、アノ日々の後遺症を引きずりつつも日々を過ごす事が出来ている。


しかし同じ会社に、いまだ地獄が確かに存在している。その事実が私を苦しめる。




私は軽々しく地獄と名を打っているわけではない。あそこは人の心を持たない悪魔が醜い欲を満たすために居る、本物の地獄なのだ。


随分感情的に、詩的に描写しているなぁと笑う人もいるかもしれない。


しかし、一般人の想像を絶するおぞましさがそこは確かにあるのだ。たかだか会社の一部署が、こんなにも救いのないコミュニティになり得るのかと、疑わずにはいられない酷さが蔓延しているのだ。


あの日々を思い出すと、私は心から人間に生まれた事を後悔する。

人でなくなった者の業の深さと、それを傍観する事しか出来ない人間の心の弱さに眩暈がする。



同期は私に、その後輩に会ってほしいといった。






地獄に通う彼女に、私は何を話せるだろう。